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2022-03-09

出産・育児など、「ひとり親世帯」や「働く女性」への支援制度(第9回)

市ノ川 一夫

第9回 母性健康管理措置による休暇制度導入および休暇取得助成金

 

いまだに続く新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、解雇や雇止めによる失業、休業や収入減少などで生活が困難な状態になった「ひとり親世帯」や「働く女性」を支援する諸制度に特化して、以下の9つの制度をシリーズでご紹介して参ります。
9回目は、母性健康管理措置による休暇制度導入および休暇取得助成金についてご紹介します。

 

<ご紹介する制度>

 
 

09.母性健康管理措置による休暇制度導入および休暇取得助成金

生活支援
 
労働基準法では、妊娠中の女性従業員は「時間外、休日労働、深夜業の制限等について主治医等からの指導がなくても、会社に適切な措置を取るよう請求できる」と定めています。このコロナ禍で出産や出産後の就労についてより、不安を感じている方も少なくないと思います。
そのような方は、まず会社の人事部に相談してみてください。今回ご紹介する助成制度は事業主向けのものです。
 

<制度概要>

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、休業が必要とされた妊娠中の女性従業員が、安心して休暇を取得して出産し、出産後も継続して活躍できる職場環境を整備するため、当該女性従業員のために有給の休暇制度を設けて取得させた事業主に助成金を支給する制度です。
 

<参考情報>

「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置」とは?

妊娠中の女性従業員が、医師や助産師の保健指導・健康診査を受けた結果、担当する仕事などにおける新型コロナウイルス感染症への感染のおそれなどの心理的なストレスが、母体または胎児の健康保持に影響があるとして指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主は母健連絡カードに記載された主治医等の指導に基づいて適切な措置を講じなければなりません。たとえば感染の恐れが低い作業への転換や出勤の制限などの措置を講じなければなりません。
 

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000628247.pdf
 

厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)
働く女性の妊娠・出産をサポートする「女性にやさしい職場づくりナビ」

https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/
 

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置に係る助成金

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11686.html
 
なお、母性健康管理措置には、他にも以下のような措置があります。
妊娠中の通勤緩和、妊娠中の休憩に関する措置、妊娠中または出産後の症状等に関する措置(作業の制限、勤務時間の短縮・休業等)などがあります。
 

  1. 両立支援等助成金
    (新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース)

    詳しいリーフレットはこちら
    https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000763851.pdf
     

    <助成内容>

    対象従業員(雇用保険被保険者)1人当たり28万5千円
    ※1事業所当たりの人数制限 5人まで
     

  2. 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇制度導入助成金

    詳しいリーフレットはこちら
    https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000763821.pdf
     

    <助成内容>

    1事業場につき1回限り 15万円
     

    <申請期間>

    対象従業員の有給休暇の延べ日数が合計5日に達した日の翌日から令和4年5月31日まで
    ※事業場単位の申請です。

 
 

<所長のつぶやき>

今回ご紹介した制度は、就業規則に制定しなくても、社内通知文等で制度概要を周知徹底することでも大丈夫となっています。メールやSNSを駆使すればそのハードルは低いはず。もともと、妊娠、出産を控えた女性従業員に対し、事業主は医師や助産師の指導事項について、必要な措置を講じる義務があります。
優秀で大切な女性従業員が、妊娠したことで不安が増えないよう、安心して休暇を取れる就業体制を整えていくことが、ひいては会社の発展につながることです。私はそう確信しています。
また、女性従業員の方も一人で悩まず、遠慮せずに会社人事担当に、人事部がなければ、顧問の税理士や社労士、または公的機関に積極的にご相談して下さい。

 

 

(本コラムの情報は、2022年3月現在のものです)